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西田一彦さんインタビュー


西田さんは、富山県で活躍されている漫画家・作家です。今回出版された『知的武装のためのパワー読書術』は、西田さんの読書に対する思いがいっぱいつまったエッセイです。今回は、西田さんが漫画を描かれるようになったきっかけなど、インタビューさせていただきました。




― 西田さんが漫画を描かれるようになったきっかけはどのようなものでしょうか?

漫画は小さいころから落書き程度に書いていました。
自分で面白いとか、ましてや上手だとかなんて思っていなかったんですが、 小学校のころからクラスの仲間うちでは好評でしたね。
この話はメルマガにも書いたんですが、中学2年生のときにある事件が起きました。
美術の時間のことです。
頭のはげた先生3人の似顔絵を頭の形を大げさにデフォルメして面白おかしく描いたものをクラス内にまわしていました。
見ている連中が可笑しいんだけど笑いをこらえている様子が快感でした。
その絵がわたしのところに戻ってきたときです。わたしの手の中からその紙がスッと消えました。
いつの間にか横に美術の先生が立っていて、わたしの漫画が取り上げられたのです。
悪いことはかさなるもので、わたしの描いた3人のはげ先生の中にしっかりその美術のF先生も入っていたのです。
漫画を見るF先生の目は笑ってなんかいません。
「これを描いたのはお前か?」
こくりとうなずくと、「この絵はあずかっておく。昼休みに職員室まで来い」と言います。
昼休みに職員室へ行こうとすると、仲間たちが「見ていてまわしていたおれたちも同罪だから」と一緒について行くといいます。
それを制して、一人で職員室へ入りました、店屋物のカツ丼を食べているF先生の所へととぼとぼと歩いていきます。
「おお、西田か、こっちへこい、お前の描いたこの似顔絵だけどな」
頭をこつんとやられると覚悟した次の瞬間のことです。
「いやあ、実に面白い。ワシのも面白いがこのS先生の頭の形なんかそっくりだ、ねえ、S先生」
前の席に座っているS先生は苦笑いしています。
「これを卒業文集に載せるから、このケント紙にマジックで清書してこい!」
これがきっかけかどうかわかりませんが、人生の中で自分の書いた漫画が初めて目上の人に評価された瞬間でした。


― 現在北陸中日新聞富山版に好評連載中のコラムについてご紹介いただけますか?

はい、指定の日曜日にイラスト入りでコラムを書かせていただいております。
依頼があったときは、半年六回ということで始まったのですが、現在連載は二年目に入っています。
なぜかというと、自分でいうのなんですが、面白いからに決まっています(笑)。



ただ新聞というのはいろんな方が読むのであまりにも偏ったことは書けません。
週刊誌なら情報の裏もとらず、ある程度言いたい放題ができますが、新聞はかなりセーブしなければなりません。
それがわたしは、世相をぶった斬るというか、まさに歯に衣着せずに書くもんで、必ず北陸中日新聞富山支局内で掲載するのしないのの、すったもんだの騒ぎになります。
もちろん向こうも文章は勝手に修正できないので、掲載前日になってもよくわたしのところへ表現変更依頼の電話がかかってきます。
あとイラストも十分風刺を効かせて描いています。
一度。超有名女性占い師を恐ろしげな顔に描いたところ、「本人からクレームがきたらどうしよう」と新聞社でもめたそうです。
たしかにあの占い師からクレームがきたら怖いですよね。関係者全員地獄に落ちなければなりません(笑)。
でもこんなわたしに現在もまた今後もわりと好きなように書かせてくれる北陸中日新聞さんには感謝しております。


― 西田さんの座右の書(愛読書)について語っていただけますか?

ミステリーマニアなんでよく意外だといわれるんですが愛読書は、ドストエフスキー、カフカ、マルケスの三人の書物です。



青春時代に三人の全作品を読みましたが、おそらく今後もずっと死ぬまで、少しづつでも再読し続けると思います。
カフカやマルケスの作品は不条理な中にも人生の真理を見出せます。
ドストエフスキーは中学生のとき「罪と罰」を最初に読みました。
ご存知の通り学生のラスコーリニコフが正義のために高利貸しの女性を殺害し、
娼婦ソーニャによっていわゆる魂の救いの道を進んでいくのですが、読んでいて思わず
「馬鹿、そんな女の言うことなんか聞くな!」
と熱くなりました。
若かったですねえ(笑)。 文章に影響を受けたのがこれは以外でもなんでもなく、筒井康隆、中島らものお二人です。



とにかくつまらない小説やエッセイが多い中、この二人の文章は先を読まずにはいられない面白さです。
中島らもさんが亡くなったときはショックでしたね。
いつか必ず二人で焼き鳥屋で一杯飲みながら文学の話をするんだと勝手に心に決めていましたから・・・。


― 以前「サントリーミステリー大賞」読者選考委員もつとめられていましたが、その時の興味深いエピソードなどありましたら、お話ください。

はい、今はもうなくなったのですが、以前、公募のミステリー新人賞に『サントリーミステリー大賞』というのがありました。
そこに大賞のほかに読者賞というのがありその選考委員に応募しました。
メンバーは大学のミステリー研究会などがほとんどで、個人で応募するのはかなりのミステリーマニアだけです。
三年務めていましたがまず年末に候補作三作が小冊子となって送られてきてそれを読んだ上で2月の本選考会に出席します。
で、選考会は公開で、東京赤坂のサントリーホールであります。
受付をして中に入ると、大賞選考委員の浅田次郎、逢坂剛、北村薫、林真理子、篠田節子、藤原伊織というそうそうたるメンバーが壇上にあらわれます。
もう、選考委員の先生方の席とわたしの席と目と鼻のさきです。
その選考模様は、なんというか戦慄もので、プロの作家が、素人の書いた小説を評するのですから、これがもうボロクソです。
選考会で受賞が決定して即記者会見となるので、報道関係者のほか候補作の作者当人も家族なんかと会場に来ています。
しかし容赦がありません。
各選考委員の先生たちが手にする候補作には付箋がびっしり。
「103Pの下段6行目のこの文章の主語は間違っている」とか、そんな針で突くような感じで2時間以上。 もう聞いているわたしまで冷や汗がでましたね。
北村薫さんはなんとか候補作のいいところを見つけてほめようとするやさしい方ですが、それがなかなかそんな箇所がありません(笑)。
林真理子さんは自分の気に入った作品とは心中覚悟ですが、そうでない作品が他の選考委員から評価されるとブチ切れます(恐)。
選考会が終わると、大賞受賞者は、賞金一千万円の小切手を手に報道関係のカメラフラッシュを浴び、選にもれた候補者は、千円ほどのビールのお土産をもらって帰っていきます。
大賞に選ばれた作品も毎回他の作品を圧倒していたからというわけでもありません。
運もあります。
まさにドラマです。


― どうもありがとうございました。


西田一彦プロフィール
1961年生まれ 富山県高岡市在住
近畿大学商経学部商学科 卒業
2000年北日本新聞社主催『初春漫画コンクール』優秀賞受賞
審査員で富山県井波町在住の漫画家森みちこ氏の薦めで漫画似顔絵などをイベントで描きはじめる。
「西田漫画工房」を立ち上げ、現在、北陸3県のタウン誌、雑誌、新聞などを中心に活動。
読書家でもあり「サントリーミステリー大賞」の読者賞選考委員を3期務める。
メルマガ『知的武装のためのパワー読書術』をまぐまぐより配信中。

【ホームページ】 http://nishida.ing3.com/